バリデーション療法とは共感する姿勢で接することによって認知症の人とコミュニケーションをとり、信頼関係をつくりあげて認知症の人の感情表現を促したり、最期までその人らしく生きられるようにする療法です。
認知症の人へのアプローチには本人の感情に触れることなく、ただ穏やかに生活してもらう方針もありますが、バリデーション療法では認知症の人の怒りや悲しみなどの負の感情からも目を背けることなく、そういった感情も表に出すよう促して共感する姿勢を取ります。そうすることによって認知症の人との間により深い信頼関係が生まれ、認知症の人が心の奥に持っている真の要求を知ることができるのです。それではバリデーション療法の基本的なテクニックを紹介しましょう。
1つ目はリフレージングです。認知症の人が発した言葉を繰り返し、自分が言ったことを確認させることで、安心感を与えるテクニックになります。
2つ目はレミニシング。認知症の人と思い出話をしたり、過去について尋ねたりすることによって、認知症の人の過去を知り、現在の問題解決に役立てることです。
3つ目はオープンクエスチョンです。認知症の人に質問する時に、はいといいえで答えることが可能な簡単な質問をするのではなく、時間、方法、場所、理由などを答えられる複雑な質問をすることによって、相手が考えていることをより具体的に知る方法になります。
4つ目はセンタリングです。認知症の人と接する時に自らの苛立ちや怒りなどの感情を抑え、相手の気持ちを心から感じ取るテクニックになります。
これらのテクニックにはいずれも共感する姿勢が大切です。